理系修士の就活備忘録2013

全国紙2社から内定を貰ったので、マスコミ対策ブログに変身中。

新聞社 筆記試験対策① 論作文

Kaitlyn "Writing"
Photo:Kaitlyn "Writing" By Elizabeth/Table4Five

新聞社を受ける上で、避けては通れない論作文。

その配点は、筆記試験の半分とも言われる。

仮に時事問題の成績が悪くとも、論作文の出来が良ければ面接に呼ぶという話もあるので、論作文の重要性は計り知れない。

また、面接官にも読まれるので、面接対策としても手は抜けない。

 

論作文対策として、文章力向上のために私がやったことを2つ挙げたい。

 

 1、天声人語書き写しと朗読

 

トップセールスを挙げた、ある営業マンの自伝を読んだことがある。

彼はしっかりとした日本語で営業トークを行い、魅力的な企画書を書くために、毎朝、朝日新聞の天声人語を書き写し、それを朗読していたという。

このやり方を用いた。

天声人語は朝日新聞のwebサイトで無料で読めるので、それを利用した。

一週間ほど続けたところ、天声人語の内容はかなり玉石混淆であることが分かった。いまいちな内容だった場合、書き写すのがかなりストレスになったので、結局のところ、書き写し 天声人語 思い出アルバムを購入して、書き写すことにした。

書き写し 天声人語 思い出アルバム

書き写し 天声人語 思い出アルバム

この本は、1946年から2011年までの天声人語のなかで珠玉の名作を集めたもので、クオリティはハイエンドに担保されている。クライバーンを受賞した盲目の天才ピアニスト・辻井伸行さんの話などは、涙無くしては読めない。

マスコミ対策などとは関係なく、人に勧めたい一冊だ。

 

毎日一本のコラムを書き写し続ければ2ヶ月で終わる分量だ。

当初、こんな書き写しで本当に文章力が向上するのか若干懐疑的だったが、2ヶ月継続してみて明らかに効果があったと断言できる。

大学のレポートを書くときなどに、スムーズに日本語を紡ぎだせるようになったのに気づく。「あの漢字なんだったけ」とつまずくことが減る。

また、慣用句やレトリックを自然に体得するのにも良い。

 

書き写しの後に朗読することによって、綺麗な日本語をしゃべれるようになったとも思う。面接ではしっかりとした日本語で、自信をもって話すことが出来た。

 

まとめると、書き写し 天声人語 思い出アルバムを二ヶ月間、毎日書き写し、朗読することは文章力と面接力を高めるのに、優れた方法だ。

 

2、毎日一本論作文を習作

筆記試験の2週間前から、毎日一本の論作文を書き続けた。実際の試験と同じく、60分で800文字を書く。テーマは最近話題になっている時事で、出題されそうなものを即興で考える。例えば、TPPやいじめ、体罰など。

最初は時間がかなりきついが、5本ぐらい書いた頃から時間が余るようになる。

論作文を書く上で重要なのは、本文を書き始める前にあらすじを書き出すことだ。どういう風に論を展開し、どう着地させるか。ゴールが見えていれば、そこへ向かって用紙を埋めていくだけだ。

いきなり書き始めると、何度も書き直したりする羽目になり、結局時間を浪費することになる。

私の場合、最初の15分は構想を練るのに当てていた。仮に10分で考えがまとまっても、何か漏れが無いか、他に斬新な発想がないか、15分いっぱいまで考えるようにしていた。

構想を練るために、マインドマップを使った。マインドマップについては、他の記事で書いたので参考にして欲しい。

http://jobhunterxjobhunter.hatenablog.com/entry/2013/02/06/003403

マインドマップで、テーマに関する連想を膨らませて、主張を複数考える。その主張の中で、しっかりと自分の論を展開できそうなもの、また他の受験生と被らなさそうなものを選ぶ。他の受験生とネタが被らなさそうなものにするのは重要だと思う。人事の人は短時間で何百枚の作文を読む訳で、同じようなテンプレ的模範作文にはうんざりしているだろう。他の人とは違う、キラリと光る才能の原石を見せつけなければ、10倍以上の難関とされる筆記試験を突破することは出来ない。

主張が決まったら、それを補強するために、どう論理展開するかを考えるだけだ。以下では私が論作文を書く場合のモデルを紹介したい。800文字なら、200文字に4分割して、それぞれをパラグラフ(改行位置)と考える。

第一パラグラフでは、そのテーマがどういうものかという前提を軽く解説した後、自分の主張の結論を述べる。最初に結論を述べるのが肝要だ。結論を述べないと、最終的にどこにたどりつくのか宙ぶらりんのまま、読み進めさせることになり、読者フレンドリーではないし、仮に時間が足りずに結論まで書ききれなかった場合は死亡確定だ。そんなリスクは犯せない。

第二パラグラフでは、自分が経験したエピソードを交えて、主張の説得力を上げる。エピソードは、自分の人柄や有能さをアピールできるようなものを選ぶとなお良い。論作文もまた、自己PRとして利用するのだ。

第三パラグラフでは、時事問題を引用して、主張の妥当性を検証する形にする。第二パラグラフでの個人的な経験から、フォーカスアウトして、風呂敷を広げる感じで、主張の一般性を指摘する。

第四パラグラフでは、第二第三の内容に触れつつ、結論のだめ押しをする。最後の文章は、印象的なものになるように、時間ギリギリまで修正し続ける。

 

毎日論作文を一本書くのを2週間も続けていれば、自分のスタイルも確立されるだろうし、少なくとも論作文に対する苦手意識はなくなるだろう。

一度書き上げた論作文は取っておいて、何度も見直して覚えておくと良い。実際の試験で、似たようなテーマが出題された場合は、そのまま書けば良いし、全く異なるテーマでも、個人的なエピソードや時事のパラグラフは流用出来るだろう。この点で、論作文ではあらかじめ習作をやっておくことが極めて重要だ。全く習作をしないのとでは、大きな差が生じる。

 

以上のように、二つの方法で二ヶ月間にわたって論作文対策を行ったが、これでもかなり促成栽培コースだったと思う。

大学入学前から新聞記者になりたいと思って新聞学部に入ったり、3回生の春からマスコミ対策塾に通ったりする人たちと、30席しかない熾烈な椅子取りゲームに参加しようというのだ。それ相応の努力が求められるのは当然だ。その覚悟があるなら、大変だとは思うが是非頑張って欲しい。